祈り。

父が九州の(たぶん)大学病院に入院してから 母はほぼ毎日 従兄弟のお寺にある滝に打たれに行っていた。 自分の出来る最大限の祈りを 神様に届けたかったんだと私は思うようになった。

 

小さかったし 何度も思い出した想い出なのでもしかしたら 当時の事と今思い出す私の中の出来事とはズレてしまっているかもしれないが、 

母はとても大変だったと思う。

壮絶な日々だったと思う。

 

そのせいか、母は昔の事をほとんど覚えていない。 もともとそんな性格だったのかもしれないが 昔の事を聞いてもほとんどの事が曖昧らしく 思い出せないのだ。

 

そりゃ 子供も5人産んで 日々 家事、育児に追われる中 誰が誰だか、誰の時の何の出来事か ごちゃごちゃになるかもしれないが

私が子を産み 親に教えを乞うても ほとんどと言っていいほどまったく参考にはならなかった。

 

そんな母が 当時壮絶な思いをしながらもしっかり父を最後まで看取り 気がおかしくならずにいられたのは 「本」があったから。だと今でもよく言っている。

 

母方のばあちゃんは「本の虫」

毎日 暇な時は本か新聞を読んでいた。

昔からそうだったらしく じぃちゃんはいつもばあちゃんが若い頃から本を買ってプレゼントしていたらしい。

年老い 目が悪くなったばぁちゃんは大きな虫眼鏡を使ってでも本を読んで 遠方から里帰りする母がお土産にばあちゃんに買っていくものは大体 本ばかりだった。

 

遠方にいるばあちゃん家に行くのはいつも長旅になる為 普段あまり本を読まない私でも ばあちゃん家に行く時は本を買ってもらって読んでいた。

「ぞうのたまごのたまごやき。」という本が中でも思い出に残っている。